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英ゴリ本の楽しみ - 1 [● 英ゴリラ]

 
English Fairy Tales を題材に、原語で読むからこそ感じ
られる面白さについて、少々書いてみようかと思います。


1. Tom Tit Tot
母親の言葉を誤解して、パイを全部食べっちゃった娘の話です
が、ここで問題になった表現は come back と get soft :
"come" というのは移動を表す単語ですから、母親の表現は
「(状態が) 元に戻ってくる」です。
状況的には、焼くことで生地の水分が出て、固くなったけれど
棚に置いて置けば、空中の水分で柔らかさが戻るということ。
一方、"get" は移動ではなく、到達・結果を表しますから
元々の状態は関係なく、get soft (柔らかくなる) となります。

もうちょっと話を広げると、
"get back soft" (柔らかさを取り戻す) という表現を使えば
誤解がなかったのでは?... ということになりますが、
"get" では、 "come" で表現できる状態の移動性 「だんだん
(柔らかくなってくる)」が伝わってこないのです。


2. The Three Sillies
天井の梁に挟まっていた木槌を見て、不幸の妄想して
泣き出す家族の話です。
イギリス (西洋) には「梯子の下を通ると不幸が起こる」
という迷信があります。要するに、上から何か落ちてくる
危険性に気づかない不注意さを戒めているだけのことなの
ですが... 知らずに危険なものの下を通っていたという
気づきが、迷信的な妄想を生んだ切っ掛けになっている
ような気がします。

しかも、その危険なものは mallet (木槌) です。
mal は「悪い」を、let は「容認」を意味しますから
悪いことが起こるという妄想に拍車をかけたわけです。


3. The Rose-Tree
継母に殺害された娘の遺骸が埋葬された場所は、
薔薇の木の下でした。
"under the rose" は、慣用句として有名ですよね。
秘密の埋葬場所です。鋭い棘が埋めたものを守り、
掘り起こされることがないからです。
.
ところで、事件の発端は、娘が言いつけられた買物の
蝋燭を3度にわたって、犬に盗まれたことでした。
何で、犬が、そんなに蝋燭を欲しがるのか??? と
思って調べてみましたが、答えはみつかりませんでした。
その過程で見つけた慣用句 "a dog in the manger" は、
自分に不要なものなのに、他人から奪う・与えないこと
を意味するようです。

継母が頼んだのは candles (蝋燭) で、
白い鳥の歌 "my wicked mother ..." の "wick" の名詞は
蝋燭の芯を意味します。
Beatrix Potter 作品を読んでいた時も思いましたが、
物語の中に、掛詞や同音異義語がたくさん盛り込まれており、
なかなか興味深いものがあります。

他に意味はないのか?と調べてみたところ、
"chip 人's wick" (直訳 : 人の芯を細かく砕く) という表現を
発見しました ! ... 殺害を表す俗語的な表現です。
この時の wick は、生命や生命力の意味だそうです。

日本語に訳してしまうと分かりづらくなりますが、
原作者による単語の選択は、原書で読む上で常に興味深いです。


タグ:英語 洋書 読書
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コメント 2

Hide

こんにちは〜 今日はいくらか凌ぎ易いですね。
我が家に大きな薔薇の木はありませんので安心しました?苦手な英語ですが話せたら最高だね!
昼食を摂ったら寝てしまいそうです・・・
by Hide (2015-08-08 12:32) 

sasanono

Hideさん,
夏は昼寝で、エネルギー・チャージ !
春風にまどろむのも、
秋に本を読みながら、うたたねするのも心地よい。
冬だけ、フル活動 ! (笑) ... なんてね*

あと1ヶ月もすれば、秋ですよ !
美味しいものも待ってます*
そこまで元気に愉しく、夏を過ごしたいですね*
by sasanono (2015-08-09 07:32) 

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