英ゴリ本 057 [ ▲ 英ゴリラの読書]
Matilda
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Written by Roald Dahl
Illustrated by Quentin Blake
[First published 1988]
9~12歳対象の児童書です。
一言で説明しますと「子供の悪者退治」の話なのですが
私がこれまで読んだ同様のテーマの児童書では
悪者は、悪い魔女・魔法使いでしたので
本書の悪者が、親と校長 ... な点に心が引っ掛かりました。
主人公の少女マチルダは、誰からも教えられずに
文字を覚えて、4歳にして大人向けの本も読め
5歳で掛け算もこなす頭脳の持ち主です。
母親は、家事, 育児をせず、ビンゴゲームに夢中で
幼いマチルダを1人家に残して、平日は毎日ゲーム参加
のために外出しています。
父親は、中古車販売店を経営していますが、買手を欺く
犯罪行為で儲けており、それを賢いやり方として息子に
自慢したりしています。
兄は、話の筋に殆ど関係がない人物です。
妹マチルダとの会話が皆無なのは驚きですが
そもそも、この家庭には会話らしい会話がありません。
英国の学校制度について、よく知りませんが
最年少クラスは5歳とのことで
学校に入学する前のマチルダは、特に父親に「お仕置き」
の悪戯をし、入学後は、ターゲットが女校長に移ります。
女校長は、大柄で怪力で、生徒に対して暴力を振います。
専制権力的で、意地悪でもあります。
この人物に対する「お仕置き」には、何と 念動力! が
用いられます。マチルダは、自力で超能力まで身に付けた!
最後に、女校長は、幽霊騒動で行方不明になり
一家は、父親の犯罪がばれてスペインに逃亡し
マチルダは1人残り、大好きな担任の女性教師と暮らす
ことになります。
大人目線では、あまり「めでたし、めでたし」という感覚に
なりませんでした。子供たちは、どう感じるのでしょうか?
担任の女教師も、マチルダの超能力に目をつけて
自分にとって不都合な人物を、5歳の子に退治させたように
見えてしまいました。
他の教師も、女校長が幽霊に恐怖して卒倒すると、
名指しで、その担任に Conguratulation ! と言っており
この2人の因縁は、学校では有名だったのではないかしら?
教師たちが児童の面前で大喜びする中、校医だけが「まとも」
に見えました。
本書に登場する大人は、あまり質が良くなくて
校医以外では、図書館の司書だけが「まとも」に見えた
ものの、どちらも、僅かに登場するだけの人物です。
中学生くらいになったマチルダの様子を見てみたいですが
作者 Roald Dahl は、既に亡くなれていますから
読者が想像 (創造?) するしかないですね!
本書の悪者を、悪事を正当化する圧政者と言い換えると
「お仕置き」も「追放」も、痛快! なのかも知れませんが
子供の世界で、それが 親・校長 ... う~ん ...
児童書とは言え、大人がいろいろ考えさせられます。
今の日本のようですが?
頭の痛い本ですね・・・
校医ですがまた来ます!
by Hide (2019-10-02 13:37)